ダキアゲテ





オレ ヲ ダキアゲテ





ダキアゲテ








「…まあ!こんなところに赤ん坊が…!あなた、あなた!!」
































































前世の記憶がある。と言ったら、一体どのくらいの人間が信じるだろうか。
凄い、凄いね。と言いながら心の中で俺を嘲笑うのだろうか。それとも、面白がって根掘り葉掘り聞いてくるのだろうか。
俺にしてみればそのどちらも滑稽で、屈辱で。


「つき…まんげつだ」


俺には名前が二つある。その一つは山本――――もう一つの名を、と言う。
、俺はその名を二度と語らない。は一度、死んだのだから。
俺がとして最後に記憶するのは夜空にちらばる糠星たち。衝撃を感じる前に意識を飛ばし、そのまま戻ることは無かった。
前世の記憶、忌々しくも何故残る。







あれから 俺の中では5年経った。







「にーちゃん…?」
「どうした武…寒いだろ、コレを掛けろ」
「うん」


武、そう呼ばれた少年…幼児とも呼べる男の子は、掛けられた毛布の端を開き、隣に居る兄の肩にも掛けるように促した。
拙い手つきで幼いながらも気を使ってくれる弟に思わず笑みが零れる、その微笑みは、年相応と言うにはあまりにも大人びていて――――。


「なーにやってんだよこのアホ兄弟、とっとと風呂にはいれ!」
「わっ、おやじ!」
「親父、近所迷惑」
「黙れっ」


こんな些細なやりとりが、未だに愛しい。それを実感できるのが、何よりも幸福なのだと。






「武、風呂、行くか」
「うんっ!」










俺は今度こそ、この命を大切にしようと誓った。