俺はアイツに何を求めているんだ。
























































「…ざまーねえな。それにしてもどうやったら200点満点のテストで0,8点なんて点数とれんだよ」
「………」

俺がそう言うと、コイツは何もいえないようで恥ずかしさと悔しさを織り交ぜたような表情を見せた。

自分の名前すらマトモに書けなかったらしいコイツの解答用紙は、みごとに真っ白で。辛うじて計算問題を解いてはいたがソレすらも計算ミスを犯していた。

あまりに悲惨な状態にお情けで0,8点を付けてやったのは、コイツの採点をやったリーの配慮だった。(途中式に対しての△だそうだ)

あの後は444番が大暴れして散々な目にあった。

テストは合格ラインだったくせに何に対してそんなに不満だったのか。

…その時にやっとのことで取り押さえた祭に444番が放った言葉。

にあんな顔をさせていいのは、ボクだけだ」

全く意味が分からぬままにボコボコにされた四次試験の試験官は、意識不明で手術室に運ばれていった。

とりあえずその場で失格となった444番はその場から消え、事後処理で慌しく働きまわった俺としては二度とハンター試験の試験官なんてやるもんかと言ったところだ。

意気消沈して採点も待たず、試験会場からさっさと出て行ったコイツには最終試験が終わった後にそれを伝えた。

その時のコイツの返事ときたら、こうだ。

『そんな理由でかよ…』

まったくもってそれはコッチの台詞だ。なんでそんな理由で俺が働かなきゃならねーんだよ。

取りあえず殴っといた。





「それにしてもなんでまた、最終試験が終わるまで残ってたんだ?」
「あー…、あの後すぐにヒソカに捕まって…」

何処と無く覇気が無いのは試験に落ちたからだろうか。

慰める気なんてさらさらないが、コイツがこんなんだとコッチまで調子が狂ってしまう。



名を聞けばと言う。

名前だけでなく、何処から見てもコイツは俺が昔から知っていると同じ姿をしていて。

正体を見破ろうとオーラを見たときはやはり偽者か、と一時は思えたのに――――――







「アンタを…待ってたんだ。言いたいことがあって」







「ホントは嫌だけど」と一言多いの顔を、シュバルトは凝視した。

その視線にうっ。と恥ずかしげに顔を逸らしは、ややあって口を開いた。

「その、俺が血、出してぶっ倒れたとき、心配してくれたんだって?リーから聞いた…」

ぎこちなく話すの右手を見れば、忙しなく壁を擦っている。落ち着かないのだろう、それはシュバルトも同じだった。



「ありがとう…と、悪かった」



二言目の真意は分からなかった。

けれど理解する前に、シュバルトはの身体を強く引き寄せその腕に閉じ込めた。

「なっ!?」
「………!」

あまりに強く掻き抱かれ講義の言を上げようとしたの耳に、切ない声が入り込む。

痛烈なほど掠れた声はにその想いの端をつかませた。


「(んだよ、また”誰かさん”と勘違いしてんのか…? ……、しょうがねぇな)」


はあ。と溜息を付いてからそっと腕をまわす。

自分より一回りでかい図体のクセに震えるその背中を、あやすように撫でてやった。

「(あ〜、俺なにやってんだろ)」

過ぎ行く人の白い目を感じつつ、はぼーっと天井を見上げた。

























しばらくしてシュバルトが我に返ったのは、「何、寒いことやってんですか貴方たち」と言ってきたリーのダイヤモンドダストを受けてからだった。

赤くなったり青くなったり忙しそうだったシュバルトは、今は気まずそうに頭を掻いてを眺めている。

「…」
「…」



クソ、お前も言いたいことがあったら言えっつーのに…!

とほとんど八つ当たりの言葉を心の中で叫んでから、俺は思い切って口を開いた。

「…あー、お前ももうなんとなく気付いてると思うが、…なんだその。似てんだ、今のアイツにというか…どっちかってと昔のアイツに」
「昔?」
「俺はまだお前のその姿を疑っている。けど、それだけじゃなくて雰囲気とかそういうのまで似てるって思うときがあんだ」
「…。もう何度も言ったけど、俺は俺だ」
「俺だって聞き飽きた。だからもう、言わねーよ」

お前の正体とか、そういうことは。

そう言えばコイツは目を見開いて、アホみたいに「え?」と聞き返してきた。

初めの頃こそ見極めようとしていた、その姿でいる目的、理由。

けれど段々そんなことを考えること自体がバカみたいに思えてきた。

そういう次元の話じゃなかったんだ。コイツに関しては。

俺ももう殆ど認めてきている。コイツは””ではないが、””なのだと。

「お前のことはもう宇宙人とか妖怪とかそういうモンだと思うことにする。だからもう何も言わない」
「うちゅ…っ、妖怪!?」

そう言えばは最初の頃は強化系だったか。強化系からの特質系の転移は珍しいといって俺に自慢してきたな。

ギャーギャー騒いでいる””にプッと噴出し、その頭を鷲掴みにする。

「その代わりしばらくお前のこと見張らしてもらうからな。今決めた」
フザケンナ!!
「師匠になってやるってんだよ、この俺様がな!」
「うがーーーいらねーーーー!!!」






また同じ地点からやりなおしが出来るとは思わなかった。

いや、やりなおしとは違うか。

別物だと思おう、「俺は俺だ」と言うコイツを。

俺がと出会ったときと似て異なるオーラの質―――――――――









「お前、強化系だろ」
「黙れくまさんパンツ!」



口元に浮かぶ明るい笑みが一つ。





(どうやらもう一人のくんの師匠だったらしいシュバルト氏)